日本人アニメーター鈴木亜矢氏が人気映画に命を吹き込む

 
(鈴木亜矢氏の厚意による)

(鈴木亜矢氏の厚意による)

 

『犬ヶ島』『風立ちぬ』『名探偵シャーロック・ノームズ』や公開予定の実写版『アラジン』を手がけたアニメーターとして鈴木氏は活躍

小さい頃から描くことが大好きで映画ファンだった鈴木氏が、13歳のときにその情熱を職業にすることができると気づくことができたのは、当時高い評価を受けていた宮崎駿のおかげだった。

「日本では夏になると宮崎の映画が公開されて、すごい人気でみんなが観に行きました」と、鈴木氏は語る。宮崎は『千と千尋の神隠し』『ルパン三世カリオストロの城』『もののけ姫』の監督として有名だ。「彼の功績によって、アニメーション映画製作の舞台裏映像を日中のニュースで目にするのが当たり前になりました」鈴木氏は 説明する。

たくさんのプロがスケッチをする姿に魅了された。「その姿に大きな影響を受けました。大人が毎日職場に通って、絵を描いて生活できるなんて… 私は映画を作りたいのだと気づきました」

鈴木氏はその目標に向かって、高校時代を過ごした — 父の海外赴任によって、アメリカとイギリスで学生生活を送った。美術大学入学への準備を恩師がサポートし、受講すべき授業やポートフォリオの作成方法を教えてくれた。鈴木氏の努力が実り、イギリスのボーンマス美術大学で映画とアニメーションの学士号を取得した。

卒業後、鈴木氏は世界中でアニメーションのキャリアを築き、『犬ヶ島』『風立ちぬ』『おおかみこどもの雨と雪』や上演予定のディズニー『アラジン』の製作に携わる。彼女は一つのスタジオで働くのではなくプロジェクトごとに仕事をするフリーランスのアーティストだ。仕事を自分で選択できることで、より自由な創造性を発揮することが可能になる。仕事を検討するときには、「この環境から何を学ぶことができるか」「未来に向けて何を得ることができるか」と自問している。

この物差しを使った結果、彼女は湯浅政明、ウェス・アンダーソン、シルヴァン・ショメや細田守など権威あるアニメーション監督と一緒に働く道へと進むことができた。「この監督たちの手がけた映画が大好きで、一緒に仕事をして学びたいと思ったのです」と、説明する。

すべてのプロジェクトが創造性あふれる夢のような仕事になるとは限らないと鈴木氏は認めている。「ときには財政的なことだけが重視されます。お金がないときは長編映画のCM業務もたくさん引き受けました。家賃を払えるように収入を確保しないといけないときもあるのです」 

日本のアニメ業界とハリウッド双方での経験を通して、二つの業界の大きな違いは「予算」であると指摘する。「予算が2億ドルを超えるハリウッド映画と予算がおそらく100万ドルの日本映画に関わりました。(日本の映画製作)チームはハリウッドよりも規模が小さく、スケジュールもきついです」ハリウッドのメジャー映画が財政的に成功するためには世界規模の市場が必要ですが、日本では国内で成功すれば採算が合うので「日本人オーディエンス」のための映画になっています」

(鈴木亜矢氏の厚意による)

(鈴木亜矢氏の厚意による)

多くの視聴者はアニメーション映画製作にどれほどの労力が費やされているか気づいていません —でも鈴木氏はそれでいいと思っている。「クリエイティブとして、視聴者には舞台裏の人たちのことを想像してほしくないと思います。映画の狙いは観客を楽しませることですから」

アニメーション映画製作のクリエイティブプロセスは、まずストーリーから始まり、それから脚本が形づくられていくそうだ。次に、アーティストが絵コンテを作り始める。「スクリーンに登場するコマの一つ一つを描き始め、どんな映画になるか考案して描き出します。次につなげるとどうなるかをみていきます。映画を作るためには書き直しもたくさんあり、絵コンテも何度も描き直します。うまくいくまで何年もかかり、その後アニメーションのプロセスに入ります」

鈴木氏は、アニメーターは「役者と同じだ」と言う。役者がセットで演じる代わりに、アーティストは協働してアニメーションを手で描き、ストップモーションのコマを組み、パソコンでアニメーションをつくる。フィルム映像がデジタル処理、編集された後に音声が加えられて、ついにスクリーンに映し出される。このプロセスに10年以上かかることもある。  

鈴木氏はアニメーション業界で15年間過ごしてみて、大学で取得した学位が仕事で生かされていると感じている。アニメーターとして自分が描いているものの文脈を理解するためのリサーチに多くの時間を費やしている。「アニメーションをしているときは、ある時代やある年齢のキャラクターを対象にしているので、これらを本当によく観察してリサーチしなければならないのです。職場では常に描いていると思われがちです。9時から 6時までただ描いているだけ… これは違います。半分以上の時間はリサーチに充てています。ストーリーチームにいたら、夢中になってリサーチしています」

 
 

例えば『名探偵シャーロック・ノームズ』のときは、アーサー・コナン・ドイルの本をすべて読んだそうだ。「ドイルがシャーロックのキャラクターを作り上げたときのメモを一つ残らず見つけ出すことまでしました。すると、本ではわからなかったことを発見できたのです。ホームズ兄弟の三番目に生まれたことなどです。このようなことを全部知っていたので、シャーロックのストーリー作りにとても役立ちました」

大学で学ばなかったら仕事でこれほどまでに成功を収めることはできなかったと、鈴木氏は振り返る。「リサーチ方法、学習の仕方を大学で学びました。読書した本の内容が100% 関連性のあるものでなくても、少なくとも情報の集め方はわかっています。ですから、不思議なことに高等教育はクリエイティブ業界でもとても重要なのです」

アニメーション業界に今関わることができるのは素晴らしこと — いろんなメディアのアーティストたちが一緒になって、様々なタイプの今までにはない映画がつくられている。「描くスキルしかない」従来型のアーティストだった鈴木氏は自分のスキルが3D、ストップモーションや実写製作に生かされるとは思ってもみなかったが、最近これらすべてに関わる機会があった。2D アニメーターたちは実写セット製作で3Dアニメーターをサポートしたり、ストップモーション映画に携わったり、人形遣いはデジタルのキャラクターづくりを支えているそうだ。「コンピューター技術の進歩によって、これらのスキルが一箇所に集められて協働できるようになりました。今後がますます楽しみになっています」と、鈴木氏は期待を膨らませている。

This piece is available in English.


Like what you’re reading? Subscribe to Assembly to get girl-powered posts delivered to your inbox twice a month.


 
Tess+headshot.jpg

ABOUT THE AUTHOR

Tess Thomas is editor of Assembly, a digital publication and newsletter from Malala Fund. She loves books, cats and french fries.