性差別という言葉は、事実上日本語には存在しません。私はこれを変えようとしています。

(Tiyi Ayeva /マララ基金の好意による)

(Tiyi Ayeva /マララ基金の好意による)

HOGO Women’s Networkの創設者として、日本の学生の皆さんに、この問題について話し合うための場や用語を提供しています。

日本に住み始めて、ほぼ7年になります。日本の社会に関して大好きなところはたくさんあります。建築(特に安藤忠雄)。人々が年長者に対して深い敬意を抱いていること。マナーをとても大切にしていること。一方で日本の社会には、私の理解できない部分があります。それは職場における日本女性の処遇です。

この問題に気が付いたのは子どものころです。10歳で日本に移住した際、クラスには働く母親が私の母しかおらず、母は多くの学校行事に参加できませんでした。行事が昼間に行われていたからです。私は、なぜ専業主婦がこれほど多いのかと考え始め、周囲の人たちにも尋ねました。そのとき、日本の働く女性たちが置かれている不幸な現実を知ったのです。

最近の調査では、日本企業の4分の3に女性上級管理職が1人もおらず、大部分の企業において女性管理職は10%に満たないことが明らかになりました。家庭や社会のプレッシャーから、女性が第一子の出産後に仕事を辞めることは少なくありません。職場でのセクシャルハラスメント問題も多数発生しており、女性が仕事を続ける妨げになっています。

安倍晋三首相が率いる日本政府は、働く女性に対するこうした差別を認識し、女性労働者を支援するため、過去数年にわたり様々な政策を打ち出してきました。これは「ウーマノミクス」とも呼ばれています。こうした政策により、2012年以降、200万人が日本の労働力市場に加わりましたが、その多くは低賃金のパートタイムや契約社員という立場で雇用されています。また、世界のジェンダー平等指数(世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数など)では、日本の順位が下がり続けています。何かを変える必要があるのは明らかです。

(Tiyi Ayeva /マララ基金の好意による)

(Tiyi Ayeva /マララ基金の好意による)

学生である私は、この問題が若いころから始まることに気が付きました。性差別やセクシャルハラスメントを話題にするのは、日本の社会ではいまだにタブーであり、学生たちにはこの問題について話し合う場や用語がありません。そのために、性差別問題を軽視する社会が生まれ、セクシャルハラスメントの被害者は自分の経験について率直に話すことができません。この状況を変えるため、2016年に私はHOGO Women’s Networkを設立しました。「HOGO」という言葉は日本語では「保護」、つまり、守ることを意味します。

性的偏見に関するワークショップでは、日本の学生に対し、こうした問題について学び、意見を共有できる安全でオープンな環境を提供しています。学生の皆さんに、性的偏見とは何か、それがさまざまな状況でどのように現れるのかを教えています。また、こうした問題について話し合う際に使用する用語を知ってもらうために、同意、女性蔑視、セクシャルハラスメント、性的暴行といった用語を日本語で定義しています。ジェンダーを研究する教授陣の協力を得て、適切かつ効果的な用語を教えられるようにしています。参加者自身や知人の誰かが何らかのハラスメントを受けている場合、それをどのように伝えればよいか理解できるよう、参加者には自信と豊富な知識を得たという実感を持ってワークショップを終えて欲しいと思っています。

また、ティーンエイジャーを対象にしたHOGOのワークショップでは、職場のハラスメントの複雑さと、ハラスメントを防止または撲滅する方法を教えています。さまざまな活動やディスカッションを通して、自己防衛の方法や、性差別的な発言に接したときに役立つフレーズなど、幅広い手段をお伝えしています。日本の中高生を対象にした活動をすることで、次世代の日本の労働者が、より安全で多様化した、女性が尊重される職場を築くことを目指しています。

大多数の学生にとって、日本で性差別の問題について話し合うのは、まさにこれが初めてです。学生の皆さんが最重要だと気付いたことのひとつに、職場におけるジェンダー不平等が出生率の低さにつながっているという点があります。なぜなら日本では、働く女性たちがキャリアを維持しながら子どもを持つことを不可能だと感じているからです。また、ジェンダー平等指数における日本の順位の低さにも、よく驚きの声があがります。

現在、HOGOは首都圏の若者を対象にしています。私の活動を、京都や大阪などの大都市、ゆくゆくは日本の農村地域まで拡大したいと思っています。また、HOGOのモバイルアプリケーションも開発中です。HOGO Women’s Networkアプリを通じて、日本中の働く女性たちが、セクシャルハラスメントや性差別に関する苦情を匿名で申し立てることができるようになります。それを受けた私たちのチームは、企業に働きかけるか、またはその女性が法的手段をとることを選択した場合は弁護士を見つけるお手伝いをします。現在、ほとんどの日本企業には、セクシャルハラスメントや性差別の訴えに対処するシステムがありません。このアプリには、女性が性別に基づく差別を受けた経験を共有し、お互いに助け合い、日々のストレスや不満を発散できるスペースも設ける予定です。

日本の将来に対する私の希望は、女性が労働力として、敬意を持って平等に扱われるようになることです。職場において、すべての女性が恐怖心ではなく安心感を得られるようにしたいと思います。

This article is also available in English.


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ABOUT THE AUTHOR

Tiyi Ayeva is a 19-year-old French-African student and entrepreneur living in Japan.